密刻印影

「京の名工」を授与されるにあたり
記念作品を彫刻いたしました!

その記念作品を彫刻される工程の一部を大槻秀山先生のお許しを受けて一部撮影することができましたのでその様子をご紹介致します。

安心の5年間保証書

「京都伝統産業」と彫刻してあります。 題材はこの「京都伝統産業」という文字を篆書体で入れることとなっております。
*このような時や競技会・展覧会・検定試験では篆書体が用いられます。
それは印章の基本となる書体であり最も技術の差が出る書体でもあるからです。
また大槻秀山先生は、文字だけでなく菊の花をたくさんあしらった密刻を施されました。
もちろんこの菊の花の構図・絵も全て大槻秀山先生が描かれ彫刻されました。
それでは少しだけその様子をご覧下さいませ!

印章彫刻証明書

文字入れという最も時間のかかる工程が終わった後、少しずつ丁寧に一刀一刀荒彫りをしていきます。
朱を塗り、割付した印材に筆で文字や菊の絵を捺印した時にきちんとなるように逆向きに書きます。
大きさは非常に小さく35ミリ×35ミリの角にひとつひとつ丁寧に書いていきます。

印章彫刻証明書

近くで拡大してみるとこのようになっております。
菊の細かさは描くのさえ難しいということは想像しなくても分かるほどに非常に細かく緻密に書いてあります。まずは文字部分から大まかに彫刻する荒彫りの段階です。

印章彫刻証明書

荒彫りが更に進んだ状況です。
文字の部分はほぼ荒彫りの作業が終わり、細かい菊の部分の荒彫りを丁寧に少しずつされておられます。
もちろん普段のお仕事の合間を縫って少しずつ少しずつ彫刻されておられます。

印章彫刻証明書

近くで拡大してみますとこのように進んでおります。
菊の周りの朱色の部分が少しずつ彫刻されていき、菊の輪郭が少しずつ浮かび上がってきております。
密刻という作業は非常に集中力と根気だけでなく、かなり高度な技術が必要とされます。
それはもちろん絵を描くという美術的センスだけでなくしっかりと彫刻するという技術は本当に大変難しいということがお分かりになるかと思います。
大槻秀山先生は今まで数々のこのような細かい密刻をたくさん彫刻され、たくさんの賞を戴き認めて頂いてまいりました。
この小さな35ミリ角の中に描かれる世界は非常に細かく鮮やかで美しいものです。
ぜひ綾部店(本店)にご来店の際には実際に手にとって見て頂けましたらより強く実感して頂けるかと思います。

印章彫刻証明書

仕上げ部分を彫刻されている時は時間の都合が合わず、撮影させて頂くことができませんでしたが、
出来上がり出品される前に撮影することができましたのでご覧下さいませ。
仕上げも終わり、墨を打った状態です。
私の手の大きさと比べてもらうと分かりますように非常に小さなサイズの角印です。

印章彫刻証明書

より近くで撮影しました。
菊の花びらや葉ひとつひとつ丁寧に彫刻されているだけでなく、
文字もすっきりと鋭利に彫刻されており、とても美しい印章ができあがりました。

構成から字入れ・彫刻と全ての工程を時間を見つけては少しずつ制作されました。
また大槻秀山先生は各種展覧会等で審査員を務められておられますので、その審査員参考作品というものもお仕事の合間を縫っては、少しずつ制作されては出展されておられます。
大槻秀山先生は印章作りというのは、字要れはもちろんのこと、彫刻する時間よりもまず、構成・文字のバランスや美しさを考える印稿が一番時間がかかりますとおっしゃっておられました。
このように印章というのはひとつひとつ丁寧に作るにはたくさんの時間が必要となります。